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ONDOの活動

谷さん、山の中での「フィールド研修」って何するんですか?

2021.06.30

「読み物」コーナー担当のライター・小林繭子です。ONDOが2021年にスタートした「前山フィールド」は、山の中にある研修施設。企業研修を、山で……?一体どんなものなのか、谷さんに聞いてみました。

 

 

——自然の中で企業研修をする、と聞いてぱっとイメージが浮かばなかったのですが、どんなことをするんですか?

 

フィールド研修は、スキルを身につける学びというよりは、組織に一体感を作ったり、より良い関係性を構築することを目指した研修にマッチしています。具体的には、自然の中で一緒にごはんを作ったり、チームになって体験活動や課題解決に取り組むといった内容があります。また、自然の中に身を置くことで心を解放し、オフィスや会議室とは違った発想も得られる時間になると思います。

 

——なるほど。自然の中での共同作業は、会社の中とは違う顔が見れそうですね。前山フィールドで研修をしようと考えるようになったのは?

 

前山フィールドとしている実家の山は、実は一時期荒れ放題だったんです。10年前にセミナーハウスを作ってから人が訪れるようになったり、父が丁寧に手入れしてくれるようになってどんどんきれいになりました。そうはいっても、父が年を重ねた後に引き継いで整備していけるのか、人が入らなくなったらまた荒れてしまうんじゃないかと心配していて。加えて、せっかくセミナーハウスもあるし、誰かが仕事をしたり、関わったりする場所にしたいとずっと思っていたんです。

 

前山フィールドで講師になってくれるメンバーたちと「この場所を活かしたい」と会話していくなかで、「自然の中ならではの研修ができる場所になると良いんじゃないか」っていう感じで野外研修ができる「前山フィールド」の形が決まっていきました。講師には「かがわ里海大学養成講座」出身の、これから活躍していくフィールドガイドたちが集まってくれています。講師のみなさんがさらに発展していく場にもなればうれしいです。いま、「読み物」コーナーでも毎月一組ずつ繭子ちゃんがインタビューしてくれているので、ぜひ個性豊かな講師陣たちをチェックしてほしいです!

 

▲ある日の前山フィールド。きれいに整備されています

 

——谷さんは、アウトドアが好きなんですか?

 

実は全然好きじゃなかったんです(笑)。

 

——え、そうなんですか!

 

虫が苦手っていうのもあるけど、子どもの頃から「山に行く」といえば山仕事なんですよね。田んぼの手伝いや栗拾い、竹の子取りなど「作業をさせられる場所」っていう印象があって、ウキウキしない場所でした(苦笑)。でも、大人になって訪れると自然の良さに気づくことが多く、父が大切にしてきたこの場所が、今はすごく好き。虫も少しは克服しました(笑)!

 

——私も一度お邪魔しましたが、川や杉林の道があったりといろんな要素が詰まっているのが印象的でした。みんなでわいわいバーベキューをしたあとは一人で杉林を散歩したり。自然のなかで様々なことができるっていいですね。

 

うれしいなぁ、ありがとうございます。3月のオープンフィールドでは、予想以上に大人の方の申し込みが多かったんです。のびのびと気持ちよさそうに楽しんでくれているのが印象的でした。そんな様子をみていると、自然が人を元気にすること、そして、フィールドが持つパワーって、すごいなぁと思うんですよね。

 

▲前山フィールドでの新人研修より

 

——前山フィールドでは4月に企業の新人研修が開催されましたが、どんな風に内容を決めていくんですか?

 

講師それぞれが得意とするアクティビティやガイド領域を主軸に依頼内容に応えてもらいつつ、企業研修の観点から私も一緒に設計しました。今回は新入社員さん向けだったので、みなさんが仲良くなることやコミュニケーションを自主的に取ることなどをゴールに設定していました。

 

——フィールド研修特有の悩みどころや気を付けていることは?

 

必須なのは、どんな天候でも対応できる内容にすることです。雨が降ったときのプランBの用意など、通常の研修準備よりボリュームがあると思います。ちなみに、講師の横山さんはフィールドガイド経験が長く、雨の良さも熟知していらっしゃって。山に行って雨だとテンション下がっちゃいますけど、雨だから見られるもの、感じられることを教えてくれて、特別な時間にしてくれるんですよ。

 

 

追加で、フィールド研修では内容を詰め込め過ぎないようにしています。自然の中に来たら、せかせかしたくないじゃないですか(笑)。自然を感じながらゆったりとした時間を過ごしてもらったり、「好きな場所を見つけて、そこでこのテーマについて考えてみよう」といった具合に自然の力を借りながら自分と向き合うのも良い時間になります。

 

研修場所としてスタートしたばかりですが、急いであれこれやりたいというよりは、講師のみんなと時間をかけて「前山フィールド」作りをしていきたいと考えています。

 

——新人研修以外には、どんなケースがありそうですか?

 

経営層の対話会や事業構想作りなどの集合型会議がおすすめです。フィールドで語り合って関係性を深めたり、自然についての体験学習など、いつもと違う環境で考える機会になると思います。今後はそういったメニューも考えて、少しずつウェブサイトにも掲載していく予定です。

 

——対面の研修、オンライン研修、野外研修と3パターンありますが、それぞれの良さや違いを感じるところは?

 

オンラインのメリットは、場所を選ばず、低コストで人が集まれること。それもあって、一度オンライン研修がうまく機能すれば「これもオンラインでできるんじゃないか?」とどんどんオンライン化していく印象はありますね。また、企業内での打ち合わせや1on1もオンラインが増えているため、「オンラインを前提にした内容にしてほしい」という依頼もあります。コーチング研修など、スキルに特化した研修はオンライン向きだと思います。

 

対して対面の研修では、一か所に人を集めるコストがかかることもあり「わざわざ集まる理由」が必要になってきています。関係性構築に重きを置いた新人研修やファシリテーション研修など、対面でのコミュニケーションを重視したものや、その場所でしかできない内容に向いています。

 

▲新人研修では竹を使ってご飯を炊き、みんなで食べました

 

「山の中で研修をする」っていうのは、対面研修の理由の一つになると思います。今後はオンライン化が進み、会議室での対面研修は自然と減っていくんじゃないかな。その代わり、「ここでしかできない」場所に特化した対面研修は増えていくと想像しています。3密防止の観点からも、山の中での交流はおすすめです。

 

——研修以外の活用も考えているんですか?

 

まだまだぼんやりと考えている段階ですが、前山フィールドの拠点としての活用もできたらいいなと思っています。子育てサークルさんの集まりや、サイクリングイベントの拠点、コミュニティスペースなど、いろんな可能性があるんじゃないかなと。なにか新しい試みをすると、新しい人たちとのご縁が生まれます。そのご縁も大切に、前山フィールドを良い拠点にしていきたいです。

文=小林繭子(瀬戸内通信社)

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