前山フィールド講師紹介:NiCO☆1インタビュー
こんにちは。4月からスタートしたインタビューなどの読み物を担当するライターの小林繭子です。今回は、ONDOでスタートしたフィールド研修の講師である「 NiCO☆1(ニコイチ)」のお2人にインタビューしました。
NiCO☆1とは、山田富士夫・田中真利子の活動ユニット。それぞれの特性や特技を活かし、アウトドアフィールドで活動しています。お話を聞いていると、自然の中でいろいろやってみたい!という気持ちが膨らんで、わくわくしてきます。
——はじめまして。まずはお2人について教えてください。個人ではどんな活動を?
山田(以下、ふじ):会社員として働きながら、ビーチクリーンやツアーガイドをしています。自然に囲まれた香川で海や生き物のこと、遊び方、環境について考えたり、山から川、海と全部が繋がっていることを捉えられるようなプログラムを展開しています。
田中(以下、まり):私は主婦でもあるんですが、ゲストハウスの清掃とお肉屋さん、農家のアルバイトとビーチクリーン活動にツアーガイドのお仕事、って感じですね。生まれ育った香川県三豊エリアが大好きなので、この土地のいいところを伝えていきたいと思ってさまざまな活動をしています。
——忙しそうですね……!
まり:いい意味で仕事って思ってなくて、楽しいんです。肉体的にはハードですけどね(笑)。
▲ビーチクリーンは三豊市詫間町大浜(旧大浜海水浴場)で2ヶ月に一回開催
——2人が一緒に活動するようになったのは?
ふじ:2019年くらいからです。お互いにアウトドアの活動をしている中で、なんだか馬が合って、自然と一緒に活動しています。料理はまりちゃん担当、喋りは得意な僕がやる、そんな風にお互いの得意分野で補い合ったり、それぞれの目線や考え方の違いを活かすと、より良い活動ができるんですよね。
まり:2人での活動は、バーベキューインストラクターとしてアウトドア料理体験や、ビーチクリーンなどをやってきました。「NiCO☆1」という名前がついたのは最近になってからで、山に特化した活動時のユニット名です。NiCO☆1としては、食事作り体験はもちろん、山遊びなど初心者でも気軽にアウトドアを楽しめるような活動を軸に、幅広い活動を予定しています。
▲豊かな自然の中で研修ができる「前山フィールド」
——ここからは前山フィールドでのお話を詳しくお聞きしたいです。先日開催した企業の新人研修はいかがでしたか?
ふじ:企業研修として自分たちがどんなことをするのが良いか、谷さんと相談しながら固めました。たとえ研修であっても、自然を楽しむ、遊び感覚で色んなことが学べる、という僕たちのベースは同じです。
まり:前山フィールドは山があり、川もあり、安全面も整っているからすごく自由度が高いんです。何度も足を運んで調査をして、フィールド全体を使った体験を考えました。
——特に工夫したところは?
ふじ:新入社員向けの研修だったので、お互いを知ってもらえるようなコミュニケーションとチームビルディングに重きを置きました。「ここにある道具を使って火を起こせ!」などのミッションをフィールドの中に散りばめて、チームに5つのミッションを課しました。チームワークの大切さを体感してもらうことは、必ず今後に活きるはずです。
▲フィールドに散りばめられたミッションにチームで挑む
まり:私たちの担当は研修の2日目。まだまだみなさんの堅い印象があったので「全員の素を引き出して、笑顔にしたい!」と目標を立てたよね。最初にニックネームで呼び合うことを提案して、ラフにコミュニケーションをとってみたり。いい感じに崩せて、ざっくばらんな意見交換ができました。こんなときも2人でやれるって強いんですよね。場を盛り上げる掛け合いができたり、それぞれのキャラクターの違いが活きていました。
——いわゆる「企業研修の講師」っていう堅そうな雰囲気とは違って、お2人とラフに話せるのもいいですね。
ふじ:わいわい楽しんでもらえるパートとは別に、企業理念を盛り込んだクイズや、一人で考えるワーク、決意表明の発表も盛り込みました。それぞれが強い想いを持って入社されていることが伝わってきて、じーんとしちゃいましたね。最後には、同じ班のメンバー宛に感謝の手紙を書いてもらいました。
まり:書いてもらった後に「相手に向かって読んで伝えてください」って言ったらみんな驚いていたけど、すごくいい時間になったよね。伝えることの大切さを、私たちも改めて実感しました。
▲自然の中で、一人になって自分と向き合う時間も
ふじ:自分の思いを口に出して伝えることは、職場でも大切。最後、引率担当の方も本音で話している姿が印象的でした。
——自然の中に身を置いて共にいろんな体験をすると、自然と素になれそうですね。
ふじ:そうですね、それがこのフィールドでやる魅力。ミッションを達成しながらお互いを知っていくし、「同じ釜の飯を食う」体験になったと思います。
——お2人にとって、前山フィールドはどんなところに魅力がありますか?
ふじ:コンパクトなのに幅広い要素があるところと、季節と共に見られるものが変わることですかね。管理棟やピザ窯もあって、「子どもたちが目いっぱい遊べるように」っていう谷さんのお父さんの想いが詰まった、とても過ごしやすい場所です。
まり:川があって桜、杉林、と場所ごとに雰囲気が違うところが面白いです。あとは自然が豊かで色んな植物があるところ!狩猟免許を持っているのもあって、イノシシの足跡とか、人間以外の生物の気配が見えるとワクワクしますね。
▲場所ごとに表情があり、一日中楽しめる
——今後の楽しみは?
ふじ:まだ夏の前山フィールドを体験してないので、どんな風なのかすごく楽しみです。あとは、大きいお肉を焼くのが得意なので、なにかイベントをしたい!
まり:さまざまな活動を通して “NiCO☆1のツアーは面白い” って思ってもらえたらうれしいです。前山でもブッシュクラフト(最低限の道具で楽しむアウトドアサバイバル)を取り入れて、自然で遊ぶ大人がもっと増えたらいいな。
——ブッシュクラフトではどんなことができるんですか?
ふじ:ロープワークを使ってブルーシート一枚でテントを立てたり、枝を使って簡単な椅子を作ったりできます。もっともっと色んなことができると思うので、どんどんカスタマイズしていきたいですね。
——ここはこだわっている、っていうポイントは?
まり:食事作り体験で使う食材は、なるべく地のもの、旬のものを使って食事からも四季を感じられるようにすることです。五感をフルに使って、自然を体感してもらえたら。狩猟をしていることもあって、命を頂いている、ということも大切にしていきたいです。
ふじ:あとは、今この瞬間を楽しんでもらうこと。段取りや計画性も大切だけど、目の前のことに夢中になれる時間を提供したいです。
▲まりちゃん指導のもと、生地から手づくりのピザを石窯で
——2人は喧嘩したりするの?
ふじ:しょっちゅうです(笑)。お互いが納得したものをやりたいので、意見が対立するときは時間がかかりますね。お互い年齢や環境も違うから、出る意見も違う。親子向けのプログラムを考えたときは「子どもはこれじゃ満足しないよ」「この値段でその内容だったら申し込まないな」なんて辛辣な意見をもらったり(苦笑)。
まり:お互いはっきり意見を言うし、ダメ出しし合います。「これはどんな意図でこうしたの?」って深堀りしたり。一度完成したプログラムでも、直前まで「なにがベストか?」って考え尽くして意見交換して、変更、準備を繰り返しますね。不器用かもしれないけど、こんな感じが私たちらしいのかな。先のことはあんまり考えていないというか、今を思いっきり楽しんで、道が広がっていけばと思っています。
文=小林繭子(瀬戸内通信社)
**
NiCO☆1(ニコイチ)
山田富士夫、田中真利子の2人の活動ユニット。それぞれの特性や特技を活かし、アウトドアフィールドで活動する。オリジナリティを発揮した自然体験活動は、誰もが安心・安全に自然を楽しめ、環境や自然がぐっと近づく。「NiCO☆1」は関わる人の「笑顔」と「2人で1チーム」の意味が込められている。かがわ里海大学ツアーガイド、ビーチクリーン活動、企業研修などに携わる。2人も講師として参加した前山オープンフィールドの様子はこちら。
山田富士夫 FUJIO YAMADA/パラレルワーカー
1974年生まれ、香川県育ち。好奇心旺盛で、好きなことにはのめり込む性格。高校卒業後、県内の地元企業に就職。 3 0 歳を過ぎてから、自己研磨のため、KSB・FM香川アナウンススクール、かがわ里海大学・里海 プロガイド養成講座を受講。その後、そこで培ったスキルを頼りに司会業やガイド業などの 活動を展開。現在は、アウトドア好きの趣味が高じて仕事に変わり、ライフワークを楽しむ 日々を送っている。
田中真利子 MARIKO TANAKA/スーパーアシスタント
1984年 香川県三豊市うまれ。 幼い頃から三豊市荘内半島の山と海に囲まれた自然の中で育つ。18才で結婚。現在四人家 族の2人の娘を持つ母。子供に手がかからなくなった頃から自分の生き方に目がむき初め、 自分が興味関心を持つ様々な分野について学ぶ。自主イベント開催や、持ち前の行動力と 元気からイベントスタッフとして呼ばれることも多数。現在は、講師の山田富士夫と共にビー チクリーンアップ『Desing The Earth』を立ち上げボランティア活動にも精力的に活動中。